Rainy-Rainy
Melancholic Rain
−Shizuka−
恭輔さんと出会って、数日後の放課後。
「静香!もう、ホンマにええ加減にしてよっ!」
「そっちこそっ!私なら大丈夫だって、そう何度も言ってるじゃない。千鶴のせいで、耳にタコが出来ちゃうよ」
「そ…そら悪いけど、でも!何ベンも言いたなるて。静香、今日ずっとフラフラしてるやん!」
大雨に濡れる駅前から少し離れた、住宅街の一角。
二人といつも別れる分かれ道のところで、私と千鶴は珍しく言い争っていた。
本当に、困った。
やれやれと、呆れ顔の私は眼帯の下を指で掻く。
こうなった原因は、何の事はない、私の寝不足。
ここ数日晶人さんが毎日お酒を飲んで帰って来ていたから、その相手に睡眠時間を取られてしまったのだ。
それでも何とか、毎日二時間だけは寝ていたのだけれど。
元来、丈夫ではない私の体には、ハードな毎日だったらしい。
結果、私は今朝からずっと登校中、授業中、休憩中と、フラフラとしっぱなしという有様だった。
で、そうなったら、当然、心配性の千鶴は気が気じゃない訳で…。
大丈夫だと何度繰り返しても、千鶴は聞き入れてくれないのである。
「家まで送っていくって!」
「いいよ、そんなの。千鶴に迷惑だもの」
「迷惑なんて、んなわけないやろ。お前に途中で倒れられる方が、もっと迷惑や!」