Rainy-Rainy
眼帯を無事に取り替えし、制服に着替える為、一度恭輔さんの部屋に戻る。

アイロンを掛けてないから制服の皺が少し気になるけど、もう七時に近いし、贅沢な事は言えない。

急いで家に戻って、教科書とかの準備をしなきゃいけないのだ。


一通り着替え終わってから、グルリと部屋を見渡してある物を捜す。


「えーっと…あ!あった」


部屋の隅の、ゴチャゴチャした山に、ソレは埋もれていた。

荷物やら服で、巧妙にカモフラージュされていた鏡。


その前に立って、片手で制服のリボンの位置を整える。

襟の部分がクセでピョンと跳ねちゃってて、どうにも締まらないけど、まぁ上出来かな。


「うん♪で、最後は…」


ニコッ、と笑顔の練習。



ようし。

眼帯が汚れてるから不格好だけど、ちゃんと笑えてる。



着替えも済んだところで、リビングに戻ると恭輔さんはコーヒーを飲みながら、テレビを見ている所だった。


「お前も飲むか?」

「いえ、遠慮しておきます。そろそろ帰らないと遅刻しちゃいそうですから」


それに、コーヒー苦手だから。

というか、苦い物は全般的に嫌い。

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