Rainy-Rainy
「恭輔さん、私の鞄知りませんか?」

「ああ、そこのテーブルの椅子の上に置いてあるぜ」


言われて、食卓の椅子から鞄を取って、中身を確認する。

教科書とか濡れてると困るし、携帯もチョット心配だ。


「ああ。そうだ、静香」

「はい?」

「昨日の夜携帯が鳴りっぱなしだったぞ。もしかしたら、何か急ぎの用だったんじゃないか?」


と、うんざり顔の恭輔さん。

昨夜は、マナーモードのバイブに相当悩まされたとみえる。


「ああ……多分、違いますよ」


いつもの事だから、誰が掛けて来ていたかなんて確認するまでもない。

けど、まぁ一応念の為に携帯を開いて、着歴を表示する。


着信履歴、二十件。


藤倉千鶴。

藤倉千鶴。

藤倉千鶴。


(省略)


藤倉千鶴。

鍵谷桂。

藤倉千鶴。


(省略)


藤倉千鶴。

藤倉千鶴。

藤倉千鶴。


「はぁ…」


やっぱり…。

一回を除いて、全部千鶴からだった。


というか、この桂くんの一回も、千鶴に言われてだろうな。


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