Rainy-Rainy
もはや、嫌がらせ。


これが、千鶴の悪い所だ。

向こうから電話をしてきたのを放置していると、いつまでも鳴っているし、何度も掛けてくるのである。


いや、心配してくれてるのは解るんだけど、少しばかり過剰だ。

普段はもう少しマシな方で、十回も越えないんだけど、昨日は私があんな調子だったからか…。


「やっぱ、何かあったのか?」

「あ、いえ…何でもないです」


着歴が溜まりに溜まっていたなんて言うのも、変なので笑ってごまかす。


って、笑ってる場合じゃないよ。

さっさと、家に帰らなきゃ。


「それじゃ、私そろそろ帰ります。お世話になりました」

「あぁ。って、それより道解るのか?」

「あ…」


そうだ。

気を失って、ここまで運ばれて来たから、道順なんて全然分からないんだった。


「っても、少し行けば、駅前の通りだから分かるだろうけどな。一応、そこまで送ってやるよ」

「……すいません、ご迷惑ばかり掛けてしまいます」

「気にすんなって。それより、すぐ着替えるから表でちょっと待ってろ」



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