Rainy-Rainy
「ぎっ、あアアァァァアアアァっ!!」


その悲鳴で、ウチらは我に帰った。

遅過ぎたけど、そこに静香がいた事にようやく気が付いた。


最初何が起こったか、理解出来んかった。

いや、ソレは見えてた。

けど、ただ見えてただけや。

全く理解出来へんかった。


だって、そうやろ?

右目に割れた花瓶の破片突き刺して泣き叫んでる静香なんて。

そんなんいきなり見せられても、理解出来るはずないやんか。


ウチらが投げて割った花瓶の破片が、床に転がってたんや。

そこへ、たまたま突き飛ばしてしもた。

こけた静香の右目に……たまたま刺さってしもたんや。


「あああああああッ!!」


今でもあの悲鳴は、忘れられへん。

ずっと耳の奥にこびり付いて、どんないしても消えへん。

目ン玉から血流して悶える静香の姿が、目蓋の裏から消えへん。


そうや。

間違いない。

ウチらが、静香の目を潰してしもたんや。



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