美女で野獣
「なんで私が薔薇姫なんですの?」



「その美しさ、近寄りがたさを花にたとえて?」


「そうですの…。」



孝太郎は、にこにこ笑いながら、私を見てくる。
結構、カッコいいんだな―…。



「へへっ紀奈って呼んでいいかな?」
「ぃいですわ。」


「隼人とは、いつもナニしてるんっすか?」


隼人―…。その名前を聞くだけで、少しぴくりと体が反応してしまう。




「特に、何もしておりませんわ。」
「奴隷…ねぇ。」



「!!!」


「今は、顔馴染みと思っておりますわ。」
「ふぅん。」

孝太郎は、何でもお見通しなんだな…。



不思議、孝太郎の目は、心を見透かされているみたいな感じがする…。
「隼人さぁ~…学校来てないんだっちゃね。今日。」

「な…なんでですの?!」


って…ナニ取り乱してるんだ…。



「おじさんの葬式だっちゃ。」
「そうですの。」

「でも、今日、来たくなかっただろうね。」


「ぇ?」


やっぱり、私―

「すごく、後悔してたよ。」
「なにがですの?」

「こんなヤツ、だっけ?」


ずきっ―
胸が、キリキリ痛む。



「いいんですの。隼人にとってだって、ただの顔馴染みなんですもの。こんなヤツでも、いいんですわ
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