美女で野獣
「ァハハッ」
「な…なんですの?」
「無理しちゃって。」
「し…してませんわっ!!」
「隼人さぁ~…恋愛したことないんだよね。」
「そうなんですの?」
そういえば、私の昔話ばっかりして、隼人のコト、私なんにも知らない―。
「たぶん、紀奈のコト好きだよ。隼人。」
私と孝太郎の間に、風が吹き抜ける
夏の、涼しい風が―
「そんなわけありませんわ。隼人は、私のコトなんて眼中にはありませんわ。」
バンッ―
「隼人はっ!!」
孝太郎が、イキナリ立ち上がるから、ビックリした。
「隼人は…、奴隷でもいいから、側にいたいって思ってるんだ。」
「ぇ…。」
「それほどアイツは、アンタに惚れてんだよ!!」
「…。」
孝太郎は、拳を震わせていた。
「ま、わかんねーケド。」
「はぁっ?!」
「ぇへへ~♪ァイツ、感情をあんまり表に出さないんだ。でも、わかる。」
「こ…たろぅ。」
隼人は、いい友達持ってるんだな…。
「ま、がんばれ☆」
「ぁりがとうございますわ。」
孝太郎は、くるっと振り返り
「応援してる。好きなんだろ?」
「知りませんわ。」
へらっと笑い、向こうに走っていった。
「好き…か。」
恋愛感情なんて、無くなってしまえばいいのに。
そんなもんがあるから、上手くいかないのよ…。
いらない。
そんなもの!
誰も好きにならないで!
誰も好きにならないっ!
あの時、そうココロに決めたのに―
隼人は、いつも私のココロをぐちゃぐちゃにして去っていく。
私だって…
「私だって…隼人の側にいられるなら、なんでもぃいの。」
地面に涙が吸い込まれていく…
こんなに
こんなに
好きだったなんて―
ダメ。
好きになったって、傷つくだけなの―
こんなに好きなのに
ダメなの。