美女で野獣
―バンッ


教室がざわめく。
その視線の先には…


「きーなっ♪」

チャラ男ぉお―っ?!
なんだアイツ、ピアスつけてんじゃねーか!
髪の毛金髪ぅーっ?!



チャラ男だ…





「きゃぁあ!恵よぉっ!!」



あれが、恵…。

恵というヤツが、紀奈の側に近づいてくる。


「紀奈♪」
慣れた手つきで恵はそっと紀奈の頬を撫でる。



「け…ぃっ!!」
恵の手を振り払おうとバタバタともがいている。
「や…めてってばっ!!」
「あなたなんて知りませんわ!」


紀奈のこんな声、聞いたことあったか?
トゲなんてどこにある?



ミルクのようにしっとりとした甘い声じゃないか。
あんなに頬を赤く染めて…


「照れんなよ。紀奈」
「やめてってばぁっ!!」



「可愛いヤツだなぁ。」
べたべた紀奈に触ってんじゃねーよ。

紀奈、お前のその力なら、そんなヤツぶん殴れるだろーが…

なんで、そんな―


ぁーもーしらねー


勝手にしろ

「はや…と」
紀奈と目が合う。

すぐ逸らした。
もうしらねーよ。


「ちょっと、恵君?授業つぶすつもり?」
さすがに痺れを切らした古文の先生が怒鳴り散らし始める。


「さっせーん☆」
恵は、へらっとして軽く紀奈の頭をなでドアからでて行った。


Pi…


携帯が鳴る

受信者:紀奈


"話がしたい。体育館裏に来い。"

Pi

"イヤだ"
"お願いだ"
"勝手にしろ"


それからも、たくさん紀奈からメールが来たが、全て無視した。


< 22 / 76 >

この作品をシェア

pagetop