美女で野獣
「こ…たろっ?!」

「どう?俺正義の味方だっちゃ~♪」



そう言って孝太郎はウィンクをする。

「ぁりがと」
「ぇえよぉ」



私は、孝太郎の制服のシャツの裾を掴みながら走る。

「恋って難しいね。」



「そーやね。」



「で、どうして泣いてるん?」
孝太郎と私は、体育館裏の日陰にたたずむ。



「隼人は?」
「教室で、紀奈様ファンクラブの方々にボコボコのバキバキにやられて―」




「そう」
いい気味じゃボケぇ
「ってコトは、恵は、元カレなんだな。」
「ぅん、隼人、知ってるはずなのに冷たくて。」


くしゃ



「そんなことで泣いてんのかぁ?」
孝太郎は、私の髪の毛をぐしゃぐしゃにする。


「好きなんだな、隼人のコト。」



「うん。」



―ぎゅ
「よくできました。」
孝太郎は、私を優しく抱きしめる。



隼人…隼人っ


好き



認めてしまったこの気持



もう自分の気持に嘘はつけない…。



「紀奈、泣き止んで。綺麗な顔が台無しだぞ?」
「ぁりがとっ」




ホント、孝太郎はいいヤツだ。


隼人、好きだ…この気持、もう隠さないよ。


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