美女で野獣
「まぁこんな感じ―って?!兄貴なに泣いてんだ?」
隣を見ると、兄貴はボロボロと大粒の涙を流していた。
「だって!だって!!悲しいじゃんか…好きな人と結ばれず死ぬなんて…」
確かに、紀奈と結ばれないなんてイヤだ。
あの唇に触れることもできないなんて―
あの首筋の甘い香りを
燃えるような瞳を
長いまつげを―
「失いたくない」
体の中で何かがざわついてる。
王子はつらかっただろう…
人魚姫と同じくらい苦しんだだろう…
ボクは王子、紀奈は人魚姫―
そうか…
わかった!!
「兄貴、ありがとー!!」
「ぉ…おう。」
わかった
わかった…
王子の気持ち!!
報われない恋の儚さと美しさ―
リハーサル5日目!
今日こそ―
「王子―
貴方だけを愛し続けます。」
紀奈の透き通った美しい声が響きわたる
次は、ボク―
「私もです、姫。姫しか愛せない。
愛しています―」
ざわ…
周りの子達の視線が一斉にボクに集まる
『すげーよ隼人!!めっちゃかっこよかった!!』
へへっ…きもちー!!!
最高!
簡単なことだったんだ。ボクが王子になりきってしまえば
紀奈を姫と思えば―
「隼人…ちょっと来て」
いきなり腕をぐいっと引っ張られた
連れてこられたのは、練習場のすぐ隣の準備室
「誰を考えてたの?」
紀奈のいつに無く真剣な顔
「誰って…」
「さっきの顔は恋してる顔だった」
「…っ」
紀奈のこと考えてた。なんて言えないよ
「そんなことない。」
「なんで隠すの?あんな顔私はじめて見た。誰のことを思っていたの?」
「るっせーよ」
ブチッ
今、気のせいかなにかが切れた音が―
隣を見ると、兄貴はボロボロと大粒の涙を流していた。
「だって!だって!!悲しいじゃんか…好きな人と結ばれず死ぬなんて…」
確かに、紀奈と結ばれないなんてイヤだ。
あの唇に触れることもできないなんて―
あの首筋の甘い香りを
燃えるような瞳を
長いまつげを―
「失いたくない」
体の中で何かがざわついてる。
王子はつらかっただろう…
人魚姫と同じくらい苦しんだだろう…
ボクは王子、紀奈は人魚姫―
そうか…
わかった!!
「兄貴、ありがとー!!」
「ぉ…おう。」
わかった
わかった…
王子の気持ち!!
報われない恋の儚さと美しさ―
リハーサル5日目!
今日こそ―
「王子―
貴方だけを愛し続けます。」
紀奈の透き通った美しい声が響きわたる
次は、ボク―
「私もです、姫。姫しか愛せない。
愛しています―」
ざわ…
周りの子達の視線が一斉にボクに集まる
『すげーよ隼人!!めっちゃかっこよかった!!』
へへっ…きもちー!!!
最高!
簡単なことだったんだ。ボクが王子になりきってしまえば
紀奈を姫と思えば―
「隼人…ちょっと来て」
いきなり腕をぐいっと引っ張られた
連れてこられたのは、練習場のすぐ隣の準備室
「誰を考えてたの?」
紀奈のいつに無く真剣な顔
「誰って…」
「さっきの顔は恋してる顔だった」
「…っ」
紀奈のこと考えてた。なんて言えないよ
「そんなことない。」
「なんで隠すの?あんな顔私はじめて見た。誰のことを思っていたの?」
「るっせーよ」
ブチッ
今、気のせいかなにかが切れた音が―