美女で野獣
「【るっせー?】誰に向かって言ってんだ?!
どの口が言ったぁ?もぅ1っぺん言ってみろやぁ!!!!!」

ボクの首に紀奈の手がそえられ
おもいっきり締められた

「…ぐる…しぃ」




「なんで…それくらい言ってくれたっていいじゃない。ねぇ、なんで隠すの?」

紀奈は、怒りと、悲しみに溢れた顔をしている



そんな顔しないでよ…

「そのうち、わかるよ」

「めっちゃ大事なひと」
「わかった。みんなのトコに戻ろう」



それって告白するってコトーっ?!

無理だ…ボクには…。
紀奈と並べない…

好きになる権利はボクにだってある。
でも資格はない。

振られて今のように話せなくなるのは、つらすぎる。
それなら、今のままでもいい


あの笑顔のためなら―



《演劇祭 当日》

「お化粧なんて初めてだから変な感じ…おかしくない?」

「おかしくなぃよ///」
「声、裏返ってるよ??」
「だ…大丈夫!!」

か…
可愛すぎだぁあー

やばぃ
あなたは天使ですか?!

紀奈の大きな瞳にマスカラが塗られて、瞬きするたびに花びらが飛んできそう…

髪は、エクステでくるくるのマロン色


絵にもかけない美しさとはこのこと!!


「さぁ、行くぞみんな!!」
紀奈の声が舞台裏に響き渡る

「最高のステージへ!!」
『ぉおおー!!!』


ブ―――



みんなの目がボクたちに注がれる


「…






ここからが見せ場!!

寝ている王子に刃物を持ち立ち尽くす人魚姫


[王子…王子…王子!!
ずっと…お慕いしております]

[神様…王子と会わせてくださってありがとうございます

王子、さようなら]


紀奈の涙がぽろぽろとダイアモンドの光を放っては床に流れ落ちる


[姫…]


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