美女で野獣
「それじゃぁ、本性がばれちゃうじゃないですか?」


「本性?」

紀奈の右の眉毛がぴくりと動いた

「いつも学校じゃ、クールで、優等生で、誰にでも優しくて…。みんなの憧れの的、マドンナじゃないですか。それが、ボクの前じゃこんな…。」

ボクはわざとらしく、ため息をついてみる。


「まぁな。」
紀奈は、飲み干したカップにまた新しい紅茶を注ぐ。



「でも、別に良いよ。男なんか、嫌いだ。」


そう言った紀奈の顔は、ものすごく冷たく、無表情な顔をしていた。


「ボクは?」
ふと疑問に思ったので、質問してみた。

「は?」
「は?って、ボク男ですよ!」

「そうだったのか?!」


「ぇえ―?!」


「嘘だ。ギャグだ。」
何処から何処までがギャグなのか分かりませんって!

「隼人のことは、男としてみてない。」
「じゃぁ、なんなんですか?」

「奴隷。」


「ど…奴隷…。」

ぁあ、パシリってやつか…。

「ぉい、書き終わったか?」


「ぇ?ちょっと待っててください。」
猛スピードで鉛筆を動かしているけれど、この量…。

「字、綺麗だな。」
紀奈は、ボクの隣にちょこんっと座る。



「紀奈って、こんな感じの字だよね?」

「…よく知ってるんだな。ストーカーか。」
「ち…違いますよっ!!」

ボクは慌てながらも必死に否定した。



「動揺するな。私なんかのストーカーしたって、良い事なんかないぞ?」

「だから違うって!!」



ダメだ…。紀奈のペースに流されそうだ…。




いつものボクでいなきゃ…。
取り乱すだなんてボクじゃない…。


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