美女で野獣
「隼人さんッ!」

「紗亜夜さんッ?!」
紗亜夜さんが木にぶら下がっていた


「なんだあの子ッ?!」
「超可愛いッ!」

「早くッ!」


「なんだお前はッ!誰だッ!」
先生が怒鳴り散らす


「めちゃめちゃじゃないっすか紗亜夜さんッ…」

紗亜夜さんはぱちっとウインクする

ボクは窓に近寄り、紗亜夜さんが差し伸べてくれた手を支えに木によじ登る



「はぁッ…」
「さあ、説明してもらいますよッ!」
「はい…」


ボクは恐る恐る紗亜夜さんに今あったことを話した

紗亜夜さんはふうっとため息をつき
「…で、問題の大嫌いメールは?」

ボクの手から携帯をとると慣れた手つきでボタンを押す


「隼人さん、最後まで見ましたか?」
「え」

紗亜夜さんの表情がくもった

ボクは紗亜夜さんの手から携帯をとり、あの大嫌いメールを読み直す
よく見るとずっとしたまで文が続いていた

"隼人を好きすぎる自分が"

目をごしごしこすって何度も何度も見返したけど
「う…そ」

がくっと膝が折れてその場に座り込んでしまう
「どうしますか?」

紗亜夜さんはにこっと笑う

「ありがと」



ボクは急いで教室に戻り、紀奈の側に駆け寄る。
「紀奈、どうゆうこと?」

「あッうん、もしもーし」
紀奈はボクと目が合うととっさに携帯を出し、喋っているふりをはじめた

「紀奈の携帯は通話中ライトが光るはずだけど光って無いよ、嘘電話はダメ」

ぐっと紀奈の肩を掴み、目を見据える

「紀奈の気持ち、ちゃんと教えて。生徒会終わるまで待ってるから」
紀奈はぷいっとそっぽを向く

「紀奈」
「…。」


ちゃんと知りたいんだ、紀奈のキモチ


それからずっと、紀奈を待っていた
何時間過ぎたんだろう
流石に遅すぎるんじゃ



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