美女で野獣
シャリッ―

「うっめぇ~っ!!ほら、隼人も。」


「…冷たいっ!!」
「ァハハハッ」

「…。」
「どうした??」

「ぁ…ぃえ。」



ビックリした…。あんなに無邪気に笑うんだ…。


「なんで、林檎が好きなんですか?」
「ぅ?ぁあ…。」


「甘酸っぱくて。初恋の味だ。」



なぜか、胸がしめつけられる様に痛んだ。





「相手は、誰だったんですか?」
「…1コ上の人。」




「嬉しくて、嬉しくて、恋ってこんなに幸せなんだって…思った。」



「そんとき、彼が林檎くれた。んで、別れた。」

紀奈は、へらっと笑う

「なんで?」


「彼の親が、勝手に許婚決めちゃってサ。」


「紀奈…。」
「なんだ??」

「そっから、恋、してないんですか?」



「ぁあ。恋、するの恐…く…なっちゃ…った。」



ぽんっ

「よしよしっ」
ボクは、ずうずうしくも紀奈の頭を撫でた。



「や…ヤメロッ!!ばかっ」
「いつもの、紀奈に戻るまでは、こうしてます。」

いつもは恐ろしい紀奈なのに、今は、壊れてしまいそうだから。紀奈じゃない紀奈は、イヤだから。



―って、それ、ボクがMってコト?!

まぁ、いいや。

「今日は、なんか…ありがとな。」



紀奈は、ボクの顔を見ずに、素っ気無く言った。




「ぁれ?ありがとうなんて、言えるんだ?!」
殴られ覚悟で言ってみる


―バキッ

「ぃ…」
「ヒトが、ありがとっつってんだっ!!黙って素直に聞けやっ!!」



「骨折れた~…。」
「折れてねぇし、別にお前の骨が折れても、私には関係ないな。」

「…。」
「ん?」

「元に、戻りましたね。紀奈。」


「るっせー、さっきのは、私じゃないんだ。」



紀奈が、元に戻って、良かった…。





痛いケド…




…痛―いっ!!


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