=凪=【〜もうひとつの物語り】

そっと指先が触れ、静かに手に尾沼さんの温もりが伝わってきる。

「綺麗だね」


轟音の中をかすかに耳に空気が流れる。


花火を見上げるふりをして先輩を顔を探した。



私はつないだ手をほどけないまま、はっきりしない気持ちを押し殺し、時の流れを待っていた。



音とともに沸き上がる気持ち。



この夜空に散ってしまえ………

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