*お前を抱きたい*短編
抱きたい
今日は土曜日。
家族もみんな買い物に行ってる。
だから隼人を家に招待したんだけど…。
「隼人?」
隼人は茶色に染めたサラサラの髪を抱えながらうなだれている。
「ど、どうしたの…?」
わたくし、叶 柚由と
このかた、篠原 隼人は
2ヵ月前にお付き合いを始めました。
隼人は隣のクラスのイケメンで、ちょっと抜けてる所もあるのに(そこも可愛くて好きなんだけど…)あたしを苛めるのが大好きな彼氏さん。
告白はもちろんあたしから。
一年生の頃に一目惚れして、それから半年間ずっと隼人を見ていた。
平々凡々なあたしが隼人と付き合える訳、ない…。
そう思っていたけど、ただ想うだけはやっぱり辛くて、あたしは告白を決意した。
でも、
玉砕覚悟の告白はあっさりと交わされる事となる。
ー夕暮れの教室に(友達がセッティングしてくれた)あたしは隼人を呼び出していた。
隼人は高い身長をあたしに合わせて「何、言いたい事って?」と首を傾げた。
「あ、あたし………」
「うん」
「すっす好き、です」
「ススキです?」
ちーん。
「いや…あのっ」
「そっか、ススキさんか。俺、隼人。よろしくな」
ち、違うー!!
あたしはススキさんじゃないよ!
あたし、告白、したんだよ!?