*お前を抱きたい*短編
それから、数日後。
隼人は何故かスーツを着て我が家に訪れた。
あたしは…
なにごと!?と思ったけど、隼人があたしの両親に会いたいと言うので仕方なく、隼人を両親の前に連れて行った。
隼人は両親に会うなり、正座をし、頭を下げた。
「娘さんを、頂きます!」
「「「……?」」」
誘拐でもするつもりですか?
唖然とするあたし達に隼人は構わず続けた。
「俺は柚由さんが好きです。……だから、、柚由さんと俺を認めていただけないでしょうか?」
初めていわれた。
好きって。
キスした後も、言ってくれなかった一言は両親プラスあたし、の目の前で発せられたのだ。
もう。どうして?だなんて、聞かないよ。
愚問だよ。
隼人、天然だもんね。
ド天然だもんね。
「え……柚由、この子彼氏さん?」
彼氏…
あたし達って付き合ってるの?
「はい」
あたしの代わりに答えた隼人は、キリッとしていて…かっこよかった。
あたしは涙が出そうになるのを押さえながら
「うん…あたしの大好きな人、なんだ」
と両親に微笑んだ。
両親は意外に…付き合う事を許してもらいに来る子なんて今時珍しいじゃないか。と隼人を気に入ってくれた。
この日、あたし達はカップルになった。