先生と私のたった一度の恋

2

私は、パッと身を起こしてその人を見れば、
その人は三年生で、赤い髪に赤い瞳の男の人だった。

「あぁ、悪かったな」

男の人は、ぽりぽりと頭を掻きながら私を見る。


「中村〜?
って和馬!」

難波先生がなかなかこない私を探しに戻ってきた。

そして男の人を見て先生は笑顔になった。


「和馬ぁ〜。また遅刻か?」


先生がニヤニヤしながら男の人の肩に手を回した。

その手を男の人はパシッと払っていた。


「そんな分けないだろう。…うつけ殿様の代わりに、ほら、資料作りだ。」


そう言って男の人は難波先生に大量の紙束を渡した。が、先生は受け取りきれずにばらまいた。

「きゃっ」


私はふわふわと浮いていた紙でサッと頬を切ってしまった。



「あ、中村、大丈夫か?」

先生は、切れた頬を優しく親指で拭った。
が、触れた指が痛くて身動ぎしてしまった。


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