先生と私のたった一度の恋

6

しばらく時が止まったような気がした。

私と先生は、互いに見つめ合ったまま…
難波先生は、黙って真面目に私を見つめていた。


「先生…?」


私が先生に声をかけると、先生はギュッと抱き締めてきた。
私は慌ておろおろしていた。

「な、難波先生?」


「仁也…生徒会役員は、仁也って呼ぶんだ。」


先生が、私の耳元で言った。
昼間の先生とは違って、男の顔の先生。


「せ、先生!!」

私は慌て先生の肩を掴んで体から引き剥がそうと、肩を思いっきり押した。


「儚…俺は…」


ふと先生が私の顔を見つめた。

ドキンッと心臓が高鳴って治まらない。


と、扉がコンコンと叩かれた。
それで、夢から醒めたように先生はバッと離れた。

先生の顔は赤く、口元を手で覆い隠していた。


「仁也〜!!」


ドンドンと扉を強く叩くのはどうやら琢磨先輩。

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