先生と私のたった一度の恋

3

パッと私は顔を伏せた。

先生は私を見つめたままだった。
月が私と先生を照らしていた。


「儚…」



仁也先生が私の名前を呼んだ。
ドキッと心臓が高鳴る。


しかし、さっき和馬先輩に言われたことで、高鳴りが消えた。



『俺は…こういうことは言いたくないけど…
…先生を諦めたほうがいい。』



本当は、そのことばを聞いたとき、心のどこかで

『あぁ…誰も応援は…してくれない』


なぜか釈然と、そう思うのはきっとその時の和馬先輩の表情が、苦し気だったから。


「儚…俺は、スーパーマンじゃないからこの先、絶対に傷つけない。
とは、言いきれない。
だけど、守ってやれないなんて思うほど、
落ちぶれてもいないんだ。」



私は先生が言わんとすることが解らなかった。
ただ、本能がこの先を聞いたら戻れない。と告げている。


先生が私を哀しげに見た。


「儚…俺は、この想いを告げるつもりはなかった。
だけど、今日は…
教師と生徒という立場を捨てて、
俺は一人の男で、
お前は一人の女だ。」


あぁ…言わないで。

そう思っていたのに、その思いとは裏腹に、私はドキドキしていた。


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