イジワルな唇_secretkiss_
「ちょっと来て!」
そう言われて腕を引っ張られながら後に着いて行くと、ひょこっと壁の角から顔を突き出した。
「んー?・・・あ、長瀬翔だ。」
「何してるんだろう?」
横でぽつりと香陽が呟く。
「でもさ、何してんのかなー?って。」
”まぁどうでもいいけどね”なんて言うと笑った。
「・・・・・だね。」
空を見つめながら片手におにぎりを持つ彼。
彼の、あの、サングラス越しからの空はどううつっているんだろう?
吸い込まれる様に瞳を向ける。
「あっ…」
とくん、と鼓動が揺れる。
重なる瞳、震える鼓動。
それと同時に思わず、クイッと視線をそらしてしゃがみ込んだ。