NOEL(ノエル)
プロローグ
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―――ポタ、ポタ、ポタ
撃ち抜かれた女の肩からは、熟れた葡萄のような紫紺の血が滴り落ちる。
女は、その腹を両腕で堅く護りながら、霞んだ目で男の姿を探す。
男は僅かに白煙の残る銃口をダラリと下げ、女に問うた。
「何故だ。 何故、今まで私を騙していた?」
女はガタガタとと震え出したその身を必死に支えながら、掠れた声を絞り出す。
「あなたを・・・騙していた訳ではないわ。
私はただ、あなたと一緒にいたかっただけ。」
「私が偽物を赦さない事は、お前が誰よりもよく知っていただろう。」
男は怒りに震えるその手をぐっと握りしめた。
「私は・・・私は偽物ではないわ。」
女の声は凍れる闇に響く。