NOEL(ノエル)

「あぁ・・・まだお話していませんでしたか。」

ハイバラは、重ねてきたプロセスを確かめるように思いを廻らせると

「確かに・・・それを知らなければ、僕は只の危ない研究者だな・・・」

そう言って、ふっと口元を歪めた。

「17年前、VINOの飛空艇がNANO上空で爆発したんです。
VINOからの密輸船ですよ。

僕の父は、それのパイロットをしていました。」

ハイバラはゆっくりと話し出す。

「あの船に・・・」

ゼオは視線を逸らして小さく呟く。

「僕はまだその時2歳でした。
だから、父がNANOで死んだ事だけ漠然と知らされていたんです。

でも、物心付いた頃から不思議に思い始めて・・・

だってそうでしょう?
飛空艇が空中で爆発するなんて常識では考えられない。」

「ああ・・・。そうだな。」

「それで、色々調べてみたんです。
だけど、なかなか見つからなくて・・・・」

「もともと法に触れる事をしていた訳だからな。
裏社会の事は、VINOではあまり表沙汰になる事は無い。」



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