NOEL(ノエル)

「ええ。
でも、政府資料館のデータの中に、小さな記事を見つけました。

それには、こう書いてあったんです。

『N暦903年 Ⅹ-30日、VINOの密輸船J201便NANO政府軍に撃墜される。
乗客は女性一名、及びパイロット一名。 身元はどちらも不明』 とね。」

ゼオは哀れむようにハイバラを見た。

「そのパイロットが君の父親だったという訳か。」

ハイバラは小さく頷く。

「密輸は、当時も重罪でした。
だから、僕の母も敢えて父の死の真相を探る事などしなかった。

でも、VINO政府はその事件を重く見たのでしょうね。
それからでしょう? 『ニセモノ狩り』が始まったのは。」

「そうだな。
確か私が政界に入って間もない頃だった。
恐らく私の父が当時の参謀に指示したのだろう。」


< 105 / 298 >

この作品をシェア

pagetop