NOEL(ノエル)

「ママ!!」

箱の中の少年は、ぱっちりとその両目を開き、いきなりニコルの首に両腕を絡ませた。

(お願い、僕を助けて。)
ニコルの頭の中に透き通った少年の声が響く。

「えっ、 えぇっ!?」

驚いて振り向くニコルの瞳を少年はじっと覗き込むと、

「会いたかったんだ、ママ。」

今度はその薔薇色の唇で、開きかかったニコルの口を塞いだ。

「おぉ?!」

「ヒューヒュー!!
やるなぁ、この天使くんはー!」

ガイとユーロがはやし立てる中、少年はもう一度ニコルの中へと言葉を投げた。

(そこにいる背の高い人から僕を護って。)


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