NOEL(ノエル)

「ほ~んと、アルといい、ミルクちゃんといい、何でこう僕の周りには素直じゃない人達が多いんでしょうね?」

ビルは肩をすくめて首を横に大きく振る。

「まぁ、みんなお前みたいに単純じゃないって事だな。」

アルベルトは静かに答えると、

「それじゃ、研修資料の最終チェックを始めるとしよう。」

キャビネットからファイルボックスを抜き出して、窓際のデスクへと向かった。

「はいはい。」

ビルも自分のデスクのPCを立ち上げる。

モニターの画面には何かの頭文字のようなアルファベット
が幾つか並ぶ。

「ん?珍しいな。
ビルがここのPCで資料まとめる姿なんて初めて見た。」

アルベルトは驚いたように隣のモニターを覗き込む。

「そりゃまあね。
僕も一応研修生だから提出書類はきちんと出さないと。」

ビルは幾つかのファイルに出力指示を与えると、Pendletonと右端にグリーンで小さく記されたレポートパッドを足元のプリンターに差し込んだ。


「ねぇ・・・」

その時、後ろから強張ったようなミルクの声が響く。
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