NOEL(ノエル)

*

「この中、見事に真っ暗だな。」

「・・・ええ。このレンズを通しても何も見えないわ。」

「おいビル、この中だったら声を出してもいいのか?」

「うん。
機内の設備図によると、このスペースには音声感知器が付いていなかったはずだからね。」


NANOへ向かうエネルギー運搬用の流線型の飛行体は徐々に高度を下げていく。

機内は驚くほど静かで、振動も少なかった。

三人は、それぞれがアシストするアンドロイドと共に入れられていた棺を抜け出し、飛空艇の中心部にあるエネルギー保管庫の中で待機していた。

暗闇に三人の声だけが小さく響く。

「さすがに此処は空調が効いているわね。」

「エネルギー保管庫は一定の温度と湿度を保つ必要があるからね。」

「さっきはキツかったな。
ミルク、よく耐えたな。」

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