NOEL(ノエル)
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『侵入者発見 侵入者発見 侵入者発見・・・・』
激しいサイレンの音と共に、繰り返し機械的な声が響く。
しかし、機体の不具合というイレギュラーな事態によって、乗務員たちは明らかに冷静さを失い、右往左往している。
「こっちだ!」
その合間をぬってビルが二人を誘導する。
「非常口から出るんだな?」
「だったらこの先の細い階段を下ね?」
「ったく。二人とも予習完璧だっつーの!」
三人は、『emergency exit(非常口)』と書かれた小さな金属性の扉の前に出る。
扉には丸いハンドルのようなものが着いており、その上には無線マイクのようなものが取り付けられていた。
(頼む。来ててくれよ・・・)
ビルはそのマイクのようなものを手に取ると、祈るように呟いて中央の赤いスイッチを押す。
マイクの向こうで微かに『ピー』という音がする。