NOEL(ノエル)
ψ1. シークレット・ライヴ
ψ1. シークレット・ライヴ
「じゃ、頼んだぞー。ニコ!」
そう叫びながら、腰に年期の入った工具ベルトを巻いたエド・ブルーは、燻し銀のヘルメットを被りひらりとAirスクーターに飛び乗る。
「ちょっと待ってよ、爺ちゃん!
なんでアタシがコイツのライブに付いてかなきゃならないんだよ!
しかも真夜中開演って…
アタシ、明日もスクールだよ?」
片手にライブのタイムスケジュールを掴んだニコル・ブルーは、車庫へ続く螺旋階段を慌てて駆け上がって来る。
「悪いな。
急な修理の依頼が入っちまってよ。
どーしても今直ぐ診てくれってきかねぇもんだからさ。」
――ガチッ
エドは足でAirスクーターのギアを入れ、今にも飛び出す体勢に入っている。
「とか何とか言って、ほんとは博打に行くんじゃないのかよ!
セシルのライブとダブルブッキングしてたんじゃないの?!」
「じゃ、そーいう事だからよ。
何かあったら、そいつ引っ掴んで戻って来いよ!」
エドは片手で軽く合図を送ると、後ろを振り返る事もなく白いライトで照らされたAir-Wayに向かって高度を上げた。