NOEL(ノエル)
「おい! 何だよそれ!
そういう事ってどーいう事だよ爺ちゃん!」
ニコルの声は照度を落とした夜の空間へと消える。
「こういう事じゃない?」
ふいに甘い声がしたかと思うと、後ろからしなやかな白い腕がニコルの首元目掛けて絡み付いてきた。
「う・・・」
ニコルは素早くその腕を振りほどくと、くるりと後ろを向いてその声の主を睨みつける。
「こういうの、止めろって言ってんだろ!
何だか知らないけど、ここんとこ、お前アタシと身長変わらなくなって来てんだから、鬱陶しいんだよっ!!」
「それって、もしかして僕の事イシキしちゃってるってコト?!」
ふわふわしたプラチナブロンドの髪の少年は、その細い人差し指をニコルの顎にあてると、にっこりとその薔薇色の唇の端を上げた。
ニコルはパチンとその手を払うと
「ちっげーよ!!バカ!!」
そう言って少年の脇を通り抜け、もと来た螺旋階段へと向かう。