NOEL(ノエル)

ベラが振り向いた先には、着替えを終えたセシルがにこやかに立っていた。

カーマインレッドのライダースジャケット。
ハードなチェーンが垂れるピッタリとした黒のパンツ。
足元にスタッズ付きのハーフブーツを履いたセシルの体からは、もう幼さは感じられない。

けれど、変わらないベビーフェイスと華奢な骨格から、その外見は女の子のようにも見えた。

「あ、あらセシル、
完璧じゃなくって?今日のそのスタイル。」

ベラはくるりと表情を変えて微笑む。

「服のサイズもピッタリだわね?
もう、毎回ヒヤヒヤなんだから。
あなたの身長、ベビーちゃん並に伸びてるんだもの。

初めてのライヴから40cm以上は伸びてるでしょう?
アンドロイドなのに、もうびっくりだわ。」

「そだね。
僕、色々と成長してるみたいだよ?」

そう言ってセシルはベラに極上の微笑みを投げる。


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