NOEL(ノエル)
「ふ~ん
イロイロとね~。」
ベラはぐリんと上を向いた長い睫毛を瞬かせて、大きな漆黒の瞳でセシルを見据え、
「結構よ。
それじゃあ・・・」
その指先をセシルの唇から顎、首筋、胸元へと滑らせていく。
「この体で、今日のお客を存分に楽しませてちょうだい。」
セシルはベラの手を掴むと、その耳元へ顔を寄せ小さく呟いた。
「分かった。
でもベラ、お客を楽しませるのは体じゃなくて・・・
声
だから。」
―― ブーッ
その時、開演5分前を告げるブザーが鳴り響く。