NOEL(ノエル)
ψ2. 暴走
ψ2. 暴走
止むこと無く鳴り響くサイレンの音を微かに後方に感じながら、4つの影は地下通路の中を進む。
巨大な大気調整ダクトが縦横に張り巡らされたその地下通路は、NANOの気道部であると共に、非常時には大規模なシェルターの役割も果たす。
しかし、政府によって細かくブロック管理されているその中へは、めったに人が立ち入る事は無い。
前を歩くカーペンダーパンツの男は、ちらちらと後ろを振り返りながら小声でビルに尋ねる。
「あの・・・みんな体は大丈夫かな。
NANOは基本的にVINOと同じ大気の状態が保たれてる筈なんだけど、この通路は特別だからさ・・・
ごめんね。いきなりこんな所歩かせて。」
「何言ってんだよユーロ、僕たち突然連絡して密航の手伝いさせてるんだからさ、文句とか全然言えないって。
あ、でも、体は大丈夫・・・だよね?ミルクちゃん」
ビルは後ろを振り返ると、やや俯き加減で歩くミルクの顔を覗き込む。