NOEL(ノエル)

「まあ、ニコ落ち着いて。

彼らは単にセシルの歌に、その身を同調させているに過ぎないのよ?」

ベラはにこやかに微笑みながら再びステージを見下ろす。

ステージ上のセシルは観客の様子も目に入らない様子で唄い続けていた。

「ほら、見てごらんなさい。
セシルは少しも動じていなくてよ」

しかし、体を変化させる観客はその数を増し、客席は次第に秩序を乱していく。

「ねぇベラ、これやっぱりヤバイよ。
セシルに歌を止めさせなきゃ。」

客席の様子を見たニコルが言ったその時、

――バキバキバキ!!

突然会場を囲むドームの壁の数箇所に大きな亀裂が入った。

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