NOEL(ノエル)
「NANO CITYの奴らは人ではない。紫色の血の流れるお前達は、人の皮を被った獣(ケダモノ)だ!」
「どうして・・・そんな事を・・・」
女は涙に潤んだ瞳をその下腹に向けた。そしてそこにあるモノを哀れむように、慈しむように、震えるその手でそっと撫でると、
「行か・・・な・・・くては・・・」
後方に聳えるゲートへと、ゆっくりと踵を返した。
(カロル・・・お前は何故・・・ここへ来た?
何故・・・私に近付いた?
何故・・・またそこへ行く・・・ )
男は、悲しみとも憎しみともつかない視線を、つい今しがたまで自分の妻であった女に向け、再びその左腕を上げた。
――― フォーン フォーン フォーン
刹那、耳を劈くようなサイレンの音が鳴り響き、あたりに突風が巻き起こる。
「来たか・・・」