NOEL(ノエル)

「アルベルトくん、どこだ?
真っ暗で何も見えないんだけど」

「こっちです。
多分、ニコルさんはこっちですよ!
そこから右斜め前方に歩いて来てください。」

アルベルトの声は次第に遠ざかって行く。

「えっ?
ちょっ、ちょっと待ってよアルベルトくん、

真っ暗でしょう?
君も真っ暗でしょう?

どうしてニコの場所が分かるわけ?!」

ユーロはオタオタと前へ進みながら叫ぶ。

「どうしてだか分かるんです。
見えるんですよ。
白い、光が・・・。」

「光って・・・
あのさ、アルベルトくん
君さっき此処へ降りた時、頭とか打ってないよね・・・」

ユーロがおずおずとそう言い掛けた時、前方の天井部分から逼迫した声が弾け飛んで来た。

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