NOEL(ノエル)
「パパ、迷子になっちゃう・・・
パパ、帰れなくなっちゃう・・・」
研究室に篭って仕事をしている父親の姿が目にやきついているニコルには、レミの言葉は妙に説得力があった。
「じゃあ、ニコも行く!
ニコもパパ連れて帰って来る!」
「ニコ・・・」
「やれやれ・・・
ニコにまで心配されているのか僕は・・・。」
ドアから入って来たアランは、その骨ばった細身な肩をすくめてみせる。
「大丈夫。
パパは一人で行って来るよ。
そしてちゃんと帰ってくるからさ。」
アランはベッドの前まで来ると、ニコルの頭をくしゃくしゃと撫でながら微笑んだ。
「絶対ダメ!」
「絶対ダメ!」
レミとニコルの声が重なる。