NOEL(ノエル)

「だからそれを可能にするの。
上にはその技術があるのよ。

私はあなたを、世界中の誰にも負けない歌姫にしたいの。

それが・・・夢だったから。」

「その為にセシルにお金を稼がせてるの?
信じられない。

私は今のままで満足よ。
ベラはどうかしてる。

セシルの歌で、心までおかしくなっちゃったんじゃないの?!

その・・・腕みたいに」

エミリアは立ち上がってそう言い捨てると、くるりとベラに背を向けてスタッフルームから飛び出して行く。

「エミリア、お待ち!!」

ベラはエミリアの後を追おうとして立ち上がるが、ふいに激しい目眩に襲われて再びソファへ倒れ込む。



『その命は急速に短くなっている・・・』

フィンの声がベラの頭の中に甦る。


(本当に・・・どうかしてるのかしらね、私は・・・)

ベラは額に手をあてながら小さく呟くと、ゆっくりとその瞼を閉じた。

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