NOEL(ノエル)
(やっぱな)
エドはゲート中央に片手を翳すと、
「ガイドを頼む」
そう言って、開かれたゲートの中へとスタスタと入っていった。
ライブラリはデータベースごとに細分化されたブースが通路を挟んで両側にぎっしりと並んでいる。
通路には目的のブースまでの最短距離を示す白いラインが浮かび上がっていた。
エドはラインに沿って足早に進む。
やがて、白いラインは一つのブースに辿り着いた。
エドはブースの扉を軽くノックする。
「おーい、かくれんぼやってんのかよ、坊主?」
中からの返事は無い。
けれどその代わりに、ヒクヒクという嗚咽が小さく響いてきた。
「らしくねぇな。
いつもの自信はどこ行っちゃったかな?」
「だって・・・
僕、僕は・・・ママ・・・ニコルを見捨てて・・・」
ブースの中から聞こえてくる声は、細く震えている。
エドは、ふうっと息を吐いてブースの扉に手を掛けた。
「開けるぞー。」
セシルは真っ暗な狭いブースの片隅に、小さく蹲って震えていた。