NOEL(ノエル)
「しらばっくれてやがるのか?
それとも偶然だとでも?」
「エドさんが何をおっしゃりたいのかは解りませんが、僕が研修先を此処に変えたのは、あなたが造るガイノイドについて勉強したかったからで、僕の父親とは全く関係ありません。」
「それじゃ・・・
あの坊主・・・セシルの事も関係ねぇと?」
エドは掬い上げるような目つきでアルベルトを見る。
「彼・・・セシルの事は、VINOで噂に聞いていて、確かに気になっていた事は事実です。
でもまさか此処にいるとは思っていませんでした。」
「なるほどなぁ。
じゃあ聞くがよ、VINOの中で『イレイズ』の姓を名乗れる奴はどれくらいいる?」
エドは人差し指を真直ぐに突き出す。
「『イレイズ』は、その時代のVINOの政権を担う者と、その家族だけが名乗る事の出来る特別な姓です。
それは、800年前に起きた地殻変動の前から引き継がれてきました。
現在のVINOでは、僕の祖父と父、そしてその家族だけが正式にそれを名乗る事が許されています。
だから・・・」