NOEL(ノエル)

「待ちかねたよ。
随分と手間取ったようだね。」

白衣を着たその青年は、くっと笑いを噛み殺しながら、冷ややかにビルを見る。

「やな感じ。
こっちがどんだけ大変だったか分かってんのかよ?」

「早速、そちらの状況を説明してもらおうかな。」

「その前に・・・」

ビルはその顔をモニターへ近づける。

「約束は守ってくれてるよね?」

「勿論だよ。
RJにはよく言っておいたからね。
君のネットワークには手を出すな・・・と。

でも、君の出方次第では補償は出来ないよ?
何しろ、彼はアブナイ奴だから。」

「そんな事分かってる。
どうしてあなた達が彼を雇っているのか、不思議なくらいだよ。」

「狂気は時として、強力な味方になる。
特に、我々の計画においては、ね。」

「ワケわかんないし。」

「あはは。
君は分からなくていい。
分からない方が身の為だ。」

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