NOEL(ノエル)
男は右腕で額を覆いながら、左手に持つ物の行く先を定める。
女の体は、サイレンの音と共に発せられた幾つもの白光に照らされて暗闇に浮かび上がり、神々しいまでに光り輝いていた。
「赦さない。
カロル、私はお前を・・・赦さない」
女の足がゲートに入ったのを見定め、男は左手に持つ物の引き金を引いた。
―――パンッ!
女の白いコートの背がはじけ、そこからみるみる紫色のシミが広がっていく。
女は、ゆっくりと振り返ると、腹に当てていた両手を真っ直ぐに男に差し出しながら、青白くなったその唇を、わずかに開いた。
「ぁ・・・ぃ・・・・・」
「止めろ!」
男の掠れた声がそれに被さる。