NOEL(ノエル)
「やれやれ。」
エドは大きく溜め息をつきながら、部屋の片隅にある、小さなデスクに近づく。
白い長方形の集まりのようなそのデスクの天面は、エドが近づくのを察したかのように静かに上に持ち上がり、そこには、ある女の姿が映し出された。
輝く銀色の髪、
深い琥珀色の瞳、
透き通るように白い肌。
女は、か細いその体を淡い水色のドレスで包み、
一面に淡い小さな花の咲き乱れる場所で、踊るように軽やかな足取りで歩いている。
時折、『私を見て』といわんばかりに、幸せそうな笑みをこちら側に投げながら、くるりと回って見せる。
エドは、デスクの前に置かれた黒いグローヴ状の椅子に深く腰掛けると、その映像に視線を落とす。