NOEL(ノエル)
女は涙に濡れた顔に微笑みさえ浮かべながら、尚もその手を男へと差し向けた。
「止めてくれ!」
―――パンッ パンッ!
銃声と共に女の体は大きく揺れ、そして、糸の切れた人形のように、ドサリと地に崩れ落ちた。
―――その時
女の腹の辺りから、閃光を放つ二つの小さな珠が弾き出される。
(なっ・・・)
それは、女の体の周りをぐるりぐるりと回りながら、少しずつ上昇を始めた。
(あれは・・・なんだ・・・)
男が大きく目を見開くその先で、蒼く輝くその一つは、数多の星が輝く透き通った夜空の彼方へ、
そして白く輝くもう一つの珠は、たった今ゲートの先に大きく口を開けた漆黒の闇の底へと・・・
その姿を消した。