NOEL(ノエル)

「あら・・・あらやだ私ったらBOYにこんな事・・・。
ごめんなさいね。
一体どうしちゃったのかしら。」

ベラはぶるぶると頭を振りながら、手に持ったパイプを大きく吸い込んだ。

「さ、じゃぁそろそろ戻ろうかしらね。」

ベラがそう言ってセシルに微笑んだ時、ステージでは丁度5曲目の歌が終わり、照明と舞台のセッティングが大きく変えられているところだった。

エミリアは客席に向かってキメのポーズをとっている。

その時、セシルは突然立ち上がると、ヒューっと口笛を鳴らしながらステージにいるエミリアに向かって大げさに拍手をしてみせた。

エミリアの笑顔が見る間に強張っていく。

「ねぇベラ、今の曲、僕も歌ってみていい?」

セシルは悪戯っぽい笑みを浮かべてベラを見る。

「え? え、えぇ、そりゃぁまぁいいけど・・・
BOY今の曲、初めて聞いたんじゃなくって?」

「大丈夫。
僕、音感はいいんだ。」

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