NOEL(ノエル)
ψ1. 国立ペンドルトン・ハイスクール
ψ1. 国立ペンドルトン・ハイスクール
「ちょっとアル、あなたどうして急に研修先を変えたりしたの?
先週までは私と同じ“工業用管理型アンドロイドの研修施設”に行く筈だったでしょう?
それをよりによって突然“ハウスキーピング用ガイノイドの研修施設”に変更するなんて。
全くもってあなたらしくないわ。」
VINO CITY 唯一の国立学校『ペンドルトン・ハイスクール』の北側の棟にある、特待生専用アンドロイド研修施設-通称『ヴィリジアン・ルーム』の扉の前に、頬を薔薇色に高潮させた少女が息を切らしながら立っていた。
豊かな栗色の巻き毛をポニーテールに結わえたその少女- ミルク・ロウは、16歳にしては発育過剰とも思われるその胸の前に、先刻クラス担任から渡された黄色い用紙をヒラリと広げてみせる。
「ほらこれ、研修施設変更承諾書。
でも私、何も聞いていないわよ。」
「言ってないからさ。」
アルと呼ばれた少年- アルベルト・イレイズは、机に置かれてた分厚い本からゆっくりと少女に視線を移した。
男性にしては色白な肌、さらりとしたストレートの短髪。
薄い唇にはクールな笑みが浮かぶ。