NOEL(ノエル)
ψ3. 侵入者の情報
ψ3. 侵入者の情報
「今回のはさ、かなりレアなネタだと思うんだよね。」
青々とした芝生の上にウッドデッキを張り出したオープンテラスの学食には、放課後、甘いマフィンの焼ける匂いが立ち込める。
小腹を満たそうと集まる学生達の為に、この春から新しくアフタヌーン・メニューが加わったのだ。
テラスのいちばん奥のテーブルに座ったビルは、目の前の編みかごから、まだ暖かいメープルマフィンを取りながら口を尖らせる。
「その報酬がコレ?」
「甘いモノ好きだろ?」
テーブルの反対側に腰掛けたアルベルトは、薄い唇に笑みを浮かべながらマフィンを指差す。
「あ、いやあのね、俺がスイーツに目が無いのは、世の中の女の子の大半がスイーツ好きだからであって、決して俺がスイーツ好きだからって訳じゃないの。
分かる?」
「その割には、いつも胸ポケットに甘いモノ入ってるよな?」