NOEL(ノエル)

すると、学食の奥にある厨房から、血色の良いぽっちゃりとした女性が顔を出し、ナフキンと思われる布切れをハタハタと振った。

「え・・・何あのおばさん・・・」

ビルは驚いてアルベルトを振り返る。

「あぁ、このマフィン、本当は2時間並ばないと買えないそうだ。
さっきあの人が特別にって、裏口からこっそり手渡してくれた。」

アルベルトはそう言うと、女性に向かってにこやかに手を振ってみせた。

「お前・・・。
つー事は、このマフィンもレアだったって訳か?」

「まぁな。」

「全く・・・色オトコにはかなわねぇな。」

ビルはそう呟いて、ゆっくりと首を左右に振った。


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