NOEL(ノエル)
ビルは微かに頷くと、次を促す仕種をする。
「で、その『ニセモノ狩り』によって、表向きはVINOからニセモノは一掃されたワケなんだけどー、
人間ってさ、手に入らないモノに限って欲しがるドウブツなのよね?」
「確かにな。」
「NANOとの貿易は、こっそりと水面下で続いていたんだよ。
でも、その内容は『ニセモノ狩り』以前とは全然違うものになってた。」
ジェニファーは左手に煌めく大きなピンク色の宝石をアルベルトに向けながら言った。
「ホンモノよりも精度の高いニセモノ。
フェイクの中のフェイク。
それが、今の富裕層達が競って欲しがるシナモノなの。」