幕末咲乱華
初めての旅。


姉妹は胸を踊らせ、どこまでも続いていく道を歩いた。


だが日が経つに連れ食料は減り、ここ何日か降り続いていた雨のせいで着物・草履(ぞうり)は濡れてボロボロになっていた。



おしの「お腹空いたよ〜、お姉ちゃん…」


桜子「もう少し我慢しなさい!きっともう直ぐ、村が見えて来ると思うから。」



¨よしよし¨と妹をあやし、自分も空腹で今にも倒れそうなのを我慢しながら、ひたすら歩を進めた。





ある昼下がり、とうとう空腹に我慢出来なくなった"おしの"は泣き出した。

オロオロと狼狽える(うろたえる)姉。


そんな姉妹に声を掛けた者がいた。



?「どうしたの?どこか痛いのかな?」





優しそうな老婆だった。





その老婆の後に着いて行くと、薪を割っていた老人がいた。


どうやら、この2人は夫婦の様だ。


そしてその老夫婦は姉妹に食事を与えてくれた。




桜子は、今まで住んでいた村の事や自分達の両親の死、そして両親の死後からの村の人達の哀れむ様な視線と言葉……。


耐えきれなくなってしまい、その村を出て、新たに住む村を探す旅をしていると言った。


老夫婦は目頭を抑え、桜子の話を熱心に聴いてくれた。
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